わたしは女の子

 

 

起きてすぐ寝起きの顔で外に出たかった

 

 

自分のこと俺って呼びたかった

 

 

子鹿みたいな女の子に恋したかった

 

 

目にかかるくらい髪の毛をほったらかしにしてみたかった

 

 

寝癖のまま登校したかった

 

 

煙草吸ってかっこつけたかった

 

 

突然金髪にしてグレたふりしてみたかった

 

 

汚れたジーパンを履きたかった

 

 

深夜にひとりでラーメン屋に入りたかった

 

 

すきな女の子にちょっかい出したかった 

 

 

 

わたしは女の子

 

 

 

 

病みあがり

 


土曜の夜から謎の嘔吐の繰り返しで死にそうになりながらなんとか耐え2日経った。

病院に行ってないから本当の原因はわからないけど常温で置いておいた自分で作ったスープが原因かもしれない。そのあと密封性の高いヘッドホンをしたことで三半規管がやられて死亡した。母と電話で何が原因か話してたらそういう結論になった。「自分で作っても何もいいことないな」とボソッと言うと「そんなこと言わないでよぅ…本当は自分で作るのが一番良いんだよ」と言われた。本当はわかってるよ。

 


日曜日は大好きな友達と藝大の学園祭に行く予定だったのに全部だめになった、体調が悪くなったことよりもそっちの方がうんと辛かった。絶対いい夜になってたんだろうなとか考えても哀しくなるだけなのにそんなことばっかり考えながら休日を怠惰に過ごした。

 


寝すぎて頭がぼーっとする。今はベランダの窓際に座っていつもと同じ角度から外の景色をぼんやりと眺めている。今朝は晴れてたけどゆっくりと雨に侵され灰色の街になった。向こうの山並みが見えない。

薄暗いのに明るい。部屋はもう暗いけど電気は付けない。電気見てるとクラクラするんだよね。それで外の光を頼りに本を読む。いや、ふりをした。今は文字を読むより書きたい気分だった。

 


私は自分ちのベランダが好き。

ここは4階建てのアパートの最上階。目の前は大きくて低めの駐車場が広がっているから景色がうんと向こうまで見えて天気がいいと奥にある山並みが見える。風も通るし日差しも入る。都会のキラキラとした景色も憧れるけれど私には多少なりと緑に囲まれていた方が似合ってる。ベランダの脇には引越し祝いに親がプレゼントしてくれたローズマリーの鉢植えが風に揺られてる。目の前には色褪せたビーサン、愛おしい。

雨の日はここに座って雨の音を聞くのが好き。なんて、オーガニック系の人が言いそうだけど、私オーガニック好きだし。育った場所は山に囲まれた山の上だし近くには畑だって棚田だってあったし虫だって昔は触ってたし。

窓をあけて、たまに肌へ雨水が弾ける。少しだけ濡れるの好き。風邪引いちゃいそうな感じが好き。

最近やっとよしもとばななさんの『キッチン』を読み終えたのだけど、私にとってのベランダはよしもとさんにとってのキッチンと同じような場所な気がする。そうおもいました。

 


平成最後とみんな言うけれどいつでも今は最後、

最後の夏の終わりの日記、おしまい。

 

二回生の根暗くん

二回生になってから必修科目のクラスが少し変わって3つの授業のうち2つが根暗くんと同じクラスになった。だけどやっぱりひとことも会話することなく前期が終わってしまった。話をするきっかけが恐ろしいほど何もない。だけどそこまで不満もない。彼は私にとって〝身近なアイドル〟的存在で、見てるだけで十分、という感じがある。一回生の頃よりも会える(一方的に眺める)機会が増えたおかげで近距離で彼の顔をちゃんと見れるようになった。そのぶん、レア感が無くなってしまったのか前ほどドキドキしたり緊張しなくなった。

必修はほとんど毎回先生の講評を受けて授業が終わる。美大でいう講評とは、出された課題の内容に対してみんなそれぞれ考えたデザイン案を形にしたものを持ち寄り並べて、先生も学生も他の人の制作物が見える状態で先生のアドバイスなどを挟んだコメントを聞く会。そこに出席している学生は、ひとことも聴き逃すまいと熱心にノートにメモする真面目な人もいれば、聞いてるふりをしてケータイをいじっている人もいるし、課題制作による疲労と睡眠不足のおかげでぐっすり寝ている人もいる。

自分の制作物の講評ではコンセプトや制作意図をみんなの前で言わなきゃならない。そこでただのクラスメイトとして同じ空間にいた関わりがない人たちの好きなものや意外な趣味などがあばかれたりするのが結構面白いし好きな瞬間。だから私は小さい声で話す根暗くんの講評は毎回しっかり聞くようにしている。

 まず意外すぎる彼の趣味が、ランニングとサイクリング。しかも毎朝5キロ走っているらしい。あのカラダが細い根暗くんが毎朝早く起きて走っているなんて。他にも、「あ、この前、免許とったんで、最近はドライブとかも、よくします」とか言っていた。もう運転できるんだ根暗くん、かっこいいし可愛いな。もう全部肯定してしまう。すごく健康な青年で、私の方がよっぽど根暗だなと思った。勝手に偏見で名前つけてしまってごめんね。

気づいたらすっかり真夏で、根暗くんもついに白Tとか着るようになってさわやか。ふと足元見たらKEENのサンダルが…  

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おしゃれ… 正直ちょっと虫っぽくて本当に可愛いのかなこれと思っていたサンダルだったけど彼が履いてたらめちゃくちゃお洒落で素敵なものに見えた。また全肯定。私も買っちゃいたい。

こんなに語っていると本当にきもちわるい女だと思うからそろそろ彼と会話しておきたい気もする。恋じゃないとおもうんだ、わからないけど。

 

根暗くん

 

  小山田壮平本郷奏多窪田正孝を合わせた雰囲気の男の子に勝手に「根暗くん」と名前をつけて隠れファンをやってる。もちろん話したことはないし名前も最近まで知らなかった。

 

  根暗くんはサラサラの黒髪で横顔が綺麗で細くて170センチないくらいの人。初めて存在を認識したのは4月ごろに同じ教室にやったら横顔が綺麗な人いるなあと気付いたとき。私と同じグラフィック専攻一回生で、3つある必修のクラスのうち月曜1・2限のクラスがひとつだけ同じ。その必修はMacintosh厨の先生が淡々とAdobe(IllustratorPhotoshopなど)ツールについて説明をするつまらなくて眠い授業。私はこの授業が嫌いだけど根暗くんも同じクラスにいると思うともうちょっと頑張って出席しなきゃと思う。

  根暗くんはたぶんサークルに入っていない。芸術祭期間でも一度も見かけなかった。彼は大学で交流を求めていないみたい。

  だいたいどこの美術大学でもグラフィックデザインの学科は男の子が少なくて、消極的な男の子同士でどうしても固まってしまうみたい。誰もそこから出てこようとする気配も無いしこっちから入り込むのなんか絶対にできない。お話ししてみたいんだけどな。でも普通に生活していればまず関わることはない。

 

  数人で飲みに行ったとき。男の子の友達に根暗くんを推しているということを話したら、「根暗くんはスケベだからやめとけ(笑)」と少し否定的な意見をもらった。どういうところがスケベなのかわからないけどそれを聞いたら余計に好きになってしまった。

 

  1週間ほど前のお昼やすみの話。授業が長引いてお昼ご飯遅れてしまうなと思っていたら、いつも一緒に食べてるKちゃんからLINEが来た。

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 Kちゃんには前から私が根暗くんを推していることを話していた。私たちはいつも小さな丸いテーブルを囲んで座っていたから、すぐ隣のテーブルに根暗くんが座っているところを思い浮かべながら食堂へ向かう。

  カレーライスを乗せたトレーを持ってきょろきょろしているとKちゃんが私の名前を呼んでこっちへ来た。Kちゃんはかなりニヤニヤしながら「ヤバい、あみ(私の名前です)の反応想像したら面白くて」と言いながら席を指差した。指を指している方を見るとそこには一つの長方形のテーブルを囲んで座っている友達2人とKちゃんの席、すぐ隣に根暗くんとそのお友達のみなさんがいて、根暗くんの目の前の席だけ一つ空いてる。これはたいへんだ と思った。 その日は雨で前髪がダサかったし安くて具材が何もないカレーライスを適当に買ってしまったし福神漬け入れすぎちゃったし彼の前でカレーライスどうやって食べればいいんだ……とか一瞬でいろいろな思いが頭の中を駆け巡った。彼の横側や後ろ姿はよく見ていたけど正面から見たことなんてほとんどない、ましてやこんな至近距離で。逃げたい気持ちと戦いながらなんとか冷静を装った。結局どこを見ればいいのかわからなくてただただカレーライスを見つめていたらお昼やすみが終わった。

 

  大学生になってからこんな気持ちを味わうとは思ってなかった。まるで中学生みたいな言動をしている自分が可愛いし恥ずかしい。ストーカーみたいで気持ちわるい。

  根暗くんがどこかにいるんじゃないかときょろきょろしてしまうくらい好きだけど、これは恋心なのか? 好きな人 というよりは アイドル みたいな感じ。これがもし恋なら話したことすらない人を好きになってしまった自分に引いちゃう。それに私には2年間くらいだらだら好意を持ってしまった人がいるし… (最近LINEをブロックされたので落ち込んでる)

 

  最近はこんな感じでキャッキャやってるけど私は遠くから見てるんじゃなくて仲良くなってみたい、お話ししてみたい。どんな人なのか気になるから。このまま勝手にアイドルみたいな扱いしてたらいつまで経っても仲良くなれないと思ってる、だからキャッキャするのは少し控えめにすることにした。

  なんでこんなに気になるんだろう?先生おしえて。